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「ボクを罠にかけたんス。容赦しないスからね」
まだ不機嫌そうに口をとがらせているマリネに、氷動が背後から声をかけた。
「あの……マリネさん。遅くなりましたが、ゲームショップではアザミ班長と共に救助していただき、ありがとうございました」
驚いたマリネが目を丸くして、背の高い氷動を見上げる。
「え……氷動くんって、そういう人なんスか。礼儀正しくて、スタイルよくて、ものすごい美形だなんてチートすぎっス」
その台詞を聞いたアザミが思わず口をはさむ。
「おい、マリネ」
「え?ボク、氷動くんのこと褒めたんスけど。ワイルドな巨大凶器を持ってますね、って言ったほうが良かったスか?」
「オメェ絶対見てるだろ!」
父親似の綺麗な顔について触れられたくないと知っているアザミの心遣いを感じた氷動は、マリネとの会話が終わった後、アザミに近づきそっと伝えた。
「アザミ班長ありがとうございます。でも、大丈夫ですから」
「そうか?」
「もう……自分の顔です」
そう言い切った氷動の顔は相変わらず美しかったが、仮面のようにも見えていた先日までの顔と今では比べ物にならない、とアザミも思った。
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