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「……ゲームショップで僕たちを攻撃してきたのは、この二名です」
カギヤは、ゲームショップの裏手で遭遇した赤シャツの男とケンジを指さした。
「若い方は、ケンジって呼ばれてましたね。所持していた拳銃を撃ったのもこの男です」
「拳銃を放り投げて逃げた腰抜け野郎か。こいつらは消えたらしいぞ」
「え?」
「警察に『鳳仙花』との繋がりを、拳銃から手繰られたらまずいからな。そいつらがマークされる前に、責任を取らせたんだろう」
「責任を取らせた」という言葉の意味は、当然カギヤにも分かった。
もうあの二人に会うことは永遠にないだろう。
カギヤが自分のベッドに戻ろうとした時、氷動が声をかけた。
「……アザミ班長、カギヤさん」
捜査員が客に扮しながら、店を追い出される直前まで店内を隠し撮りし続けた大量の写真の中から、一枚をアザミに手渡す。
「印字されている時刻から、店を追い出されている最中に撮影されたと思われるこの箱なのですが……カギヤさんと店内に潜入した時の物とは違います」
アザミたちがその写真を見ると、ゲーム機本体の外箱が数種類、人の手には届かない高い位置に壁を背にして飾られていた。
氷動が指さした外箱には「品切れ中」と手書きで書かれた紙が貼ってあった。
「潜入時とゲーム機の種類は同じですし、品切れ中という紙も貼ってあったので、同じ箱かとも思ったのですが」
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