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あと少しの我慢だ。
もうすぐ、でかい祭りが始まる。
警察は俺が仕掛けたゲームショップの罠にハマって、負傷者を出した。
しばらくはマスコミや世間の目が気になって、思い切った動きは出来ないはずだ。
警察が「極秘データ」の隠し場所をこれから新たに探し始めるとなると、ノワールにたどり着くまでには相当な時間がかかるだろう。
その時には武器密輸組織「鳳仙花」と我々は、すでに正式な取引きを開始し、この店にもいない。
新たな拠点は海外でもいいかも知れねぇな。
しかし最近の黒沼は、確実に迫ってきた取引き開始日を無事に迎えなければならないというプレッシャーが、日に日に大きくなってきていた。
「……ったく!早く、思い切り酔える日が来て欲しいもんだぜ」
と、イラついたように吐き捨てると、黒沼は何杯飲んでも酔うことの出来なくなった酒を一気に飲み干した。
それから五日後の午後11時。
連日警戒を続けているが、今夜も特に何も起こらないだろう。
警備員姿の瀬田はそんなことを考えながら、高級質店ノワールの外周をいつものように巡回していた。
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