【17】ノワール・ゲーム

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 夜間の利用者がいないことを前提に設置されたのか、この地域の車道に沿って並ぶ街灯の間隔はとても離れており、それらが照らす狭い範囲以外は闇が広がっている。  怪しい奴どころか車も人も通らない静かな夜より、多くのトラックが行き交ったり周りの風景が見える昼間の方が、気は抜けないが退屈せずにすむだろう。  時間をもてあました瀬田は、将来の自分の姿を妄想し始めた。  あと少しだけ今の状況を耐えて乗り切れば、黒沼さんが「鳳仙花(ほうせんか)」との商売を軌道に乗せてくれる。  そうすれば俺も黒沼派の一人として、屋多野組(やたのぐみ)の中での株が上がって、金回りも良くなるだろう。  いい女も選び放題さ!  そんな瀬田が正面入り口へ戻ると、珍しく乗用車が一台こちらへ向かってくるのが見えた。  瀬田は驚いた。  てっきりその黒い車は通りすぎるだろうと思っていたのに、ノワールの前にさしかかると静かに停車したのだ。  瀬田の目の前で助手席側の窓が下ろされる。  男だ。  いきなり撃ってくるかも知れない。  瀬田は緊張した。  だが待てよ、もしかしたら道を訪ねたいだけの一般人かも知れない。  コイツを下手に威嚇(いかく)して、この店が警察に目を付けられたら大変だ。  落ち着いて対処しねぇと……! 
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