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見た目のいかつさとは異なり、突然の事態には弱いようだ。
もちろん「アザミ班」は瀬田だけではなく、黒沼派全員の顔、性格、犯罪歴など徹底的に調査し把握していた。
そして瀬田が「茶色いレンガのショッピングモール」という言葉にひっかかっている隙に、手紙を渡したアザミが車を発進させて、その場を離れたことには狙いがあったのだ。
黒沼の部屋のドアが、せわしくノックされた。
「黒沼さん!すみません!急ぎです!」
少しうとうとし始めていたところを叩き起こされ黒沼は苛立ちを覚えたが、瀬田の様子に何かトラブルが発生したのかも知れないと頭を切り替え、ドアを開けてやった。
「何があった?」
瀬田は息を切らしながら答えた。
「て……っ手紙を、男に渡されました!」
「手紙?脅迫状か?」
「い……っいえ、封がしてあって中身は……!でも、レンガショップの男だと」
「レンガの訪問販売か?こんな時間に?確かに怪しいな」
「ち……っ違います!あ、レンガのショッピングモールです!」
黒沼は瀬田の手からひったくるように封筒を奪い、片端を破って開封した。
「失礼しました!」
黒沼のただならぬ勢いに怖気づいた瀬田は、逃げるように黒沼の部屋を出て行った。
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