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その手紙には丁寧な文字が書かれていた。
アイツが新しいオモチャを見つけたので
やっと自由になれました
でもまたいつアイツの気が変わるか分からない
迷惑かもしれないと思ったけど忘れらなくて
どうしても兄さんに会いたくなって来てしまいました
ごめんなさい
今夜、ホテルAの508にいます
間違いない……あの男だ!
茶色いレンガのショッピングモールでアザミと楽しんだ黒沼は酔いと興奮が強かったため、翌朝ホテルで目を覚ました時、アザミの存在が夢か現実かよく分からなくなっていた。
しかし手紙を読みながら、夢ではなかったのだと確信した。
アザミの艶やかな厚い唇、柔らかく張りのある豊満な体、熟した大人の匂い、夜の通路に響いた淫らな音や声が、黒沼の五感の記憶となって溢れ出してくる。
最近「極秘データ」のことが気になりすぎて性欲も失せかけていた黒沼は、たまらなくなった。
耳の奥に激しい鼓動を感じ、呼吸が荒くなってくる。
体温があからさまに上がり、じわじわと全身に汗がにじんできた。
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