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そこで待っていた黒沼はすぐに後部座席に乗り込んだのだが、西沢に窓を開けさせると、警備のために再び店の入り口付近に立っていた瀬田を呼んだ。
「レンガショップの男を引き留められなかったことで、怒られるのかも」と、瀬田は足取りも重く車に駆け寄る。
「西沢、オメェはやっぱり降りろ。今日は瀬田が運転とガードをしてくれ」
「俺ですか?はっ……はい!」
黒沼の突然の言葉に瀬田は戸惑いながら、店内に向かおうとした。
「警備服のままでいい!今すぐ代われ!」
イラついたような黒沼の声に怯えた瀬田が慌ただしく運転席に乗り込む間、車を降りて後部座席のそばに立っていた西沢に黒沼は何かを渡した。
「こいつを俺の部屋の金庫に入れといてくれ。留守は任せる」
「分かりました。お気を付けて行ってらっしぇ」
西沢は頭を深く下げて黒沼の車を見送ると、店内へ戻っていった。
今回、氷動とカギヤの潜入リベンジコンビは、正体を知られないように黒尽くめの服装をしており、頭には黒い覆面を被っている。
現在そんな二人は消灯された店内の階段の陰に隠れて、それぞれイヤホンで先ほどの会話を聴いていた。
先日この店舗に客のふりをして訪れた片岡警視長が、盗聴器を仕掛けておいたのだ。
さらに一階の売り場に設置されていた防犯カメラの特徴を片岡から聞いたマリネが調べたところ、精巧に作られたダミーであると判明した。
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