【18】小さな棘

9/12
前へ
/244ページ
次へ
 氷動にも、カギヤのこの言葉の意味は理解出来る。 ・ここで監視カメラの電源を切ってから三階へ向かう ・監視カメラはそのままにして、逃走の際にデータを消去していく  状況に応じて二人で選ぶ予定だったのだ。 「逃走時に確実に余裕ができるとも、現時点ではまだ分かりません。電源を切ってから行きましょう」  氷動は迷わず自分の考えを伝えた。   「分かった」  氷動の意見を聞き終えた瞬間、カギヤも迷わず監視カメラの電源を切った。  二人が慎重に三階に上がっていくと、廊下には誰もいないようだった。  薄暗い廊下の突き当りに付けられた監視カメラのランプは、ちゃんと消えている。  三階もマリネが入手した間取り図で確認した通り、階段のすぐ右には物置のドアがあり、左には手前から部屋が二つ、広めの物置という順番で廊下沿いに並んでいた。  階段のすぐ右にある物置は、間取り図では二階の物置と同じ仕様となっていたのだが、二人が見比べたところ一つだけ大きく違う点がある。  あきらかに二階の物置よりも、ドアの鍵が厳重になっているのだ。
/244ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1489人が本棚に入れています
本棚に追加