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ここだろうか?
氷動とカギヤは顔を見合わせた。
実は三階には他にもう一つ物置がある。
二人は廊下を一気に駆け抜け、一番奥に位置する広めの物置にも近づいた。
すると、つい先ほど見たばかりである同じタイプの鍵が、こちらのドアにも厳重に取り付けられていたのだ。
「もしかしたら黒沼が金庫に入れておけと西沢に渡したのは、物置の解錠時に使用する専用キーじゃないかな」
氷動にカギヤの緊張……というより、喜びによる興奮が伝わってくる。
「僕が道具を使って開けることも出来るんだけど、このタイプは専用キーを使わずに解錠すると非常ベルが鳴る仕組みなんだ」
「つまり現在、黒沼の部屋の金庫に入れられている専用キーが、該当するほうの物置の中に……」
アザミ班が探している「極秘データ」専用のノートパソコンが、置かれているということだろう。
二人が黒沼の部屋のドアの前に移動した時、隣の西沢の部屋から棚の扉を開閉するような生活音が小さく聞こえた。
……よし、黒沼の部屋には誰もいない。
顔を見合わせてうなずくと、カギヤが黒沼の部屋のドアの鍵をすばやく開ける。
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