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【19】死闘と愛撫
黒沼の部屋のドアを塞ぐように現れた西沢は、ゲームショップの裏手で氷動たちを襲った二人組とはケタ違いの迫力だった。
「まさか、その金庫を開けちまうとはなぁ。ただ者じゃねぇな」
と、感心したような西沢の声に「いやぁ、それほどでも」と思わず言いたくなったのを、覆面の下で必死に耐えたカギヤであった。
「96」の資料によると黒沼の忠犬である西沢の武器は空手だったなと、氷動は思い出していた。
「だが、残念だったな。黒沼さんの部屋に行く途中、監視カメラのランプが消えていたことに気付いちまってさ」
勝ち誇ったように西沢が笑う。
氷動は、すでに専用キーを手にしているカギヤに言った。
「コイツは自分が止めます。先に行ってください」
「でも、二人の方が……!」
「時間がありません。信じてください」
「!」
カギヤは、氷動の目を見てうなずいた。
「……分かった。君を信じるよ」
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