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その言葉を聞いた氷動は床に下ろしていた額縁入りの油絵をすばやくつかむと、回転をつけて西沢の顔面に向かって投げつけた。
バシッ!
西沢が払い除けたのを合図に二人は同時に突進し、氷動がみぞおちに拳を叩きこむ。
「ぐ……っ!」
カギヤは西沢の横をすり抜けると、部屋の外に転がるように飛び出した。
そして、すぐ隣にある広めの物置に専用キーを合わせてみることにした。
しかし専用キーは、鍵穴の奥まで入らない。
違う!ここの鍵じゃない!
てっきり、三階の廊下の一番奥にある広い物置に「極秘データ」を隠していると思ったのに、階段の右にあった物置のほうが正解だったのか!
カギヤは専用キーを握りしめて、今度は階段の方へ廊下を戻りながら走った。
「……なかなかいいパンチだが、俺には全然物足りねぇなぁ」
西沢はニヤリと笑うと、目にも留まらぬ速さで氷動の左頬を手刀で打った。
この部屋に不似合いなソファがなければ、きっと窓際までふっ飛ばされていただろう。
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