【19】死闘と愛撫

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 冗談のつもりだったのだが、まさか氷動が冗談を言うとは夢にも思っていないカギヤは真に受けてしまったようだ。 「そこまでして僕に時間をくれたのに……ごめん、何も見つからなかったんだ……」  ここは二階の物置とは違い、資料室のように使われていた。  六つのスチール棚には、分厚い背表紙のファイルケースがたくさん並んでいたのだろう。  大量のファイルケースや中身が何ヶ所かにまとめるように綺麗に床に積まれており、カギヤがすべて確認したことを物語っていた。  西沢に見つかった今となっては、調べたことがばれないようにと棚にいちいち戻す意味もないので、その手間を省略することによって短時間で作業を済ませる方法にカギヤは切り替えたのだ。 「今から広い物置の専用キーを探し始める時間はないし、こうなったら非常ベルは鳴ってしまうけど、僕が鍵を開けるから……」  「無茶しなくても、大丈夫ですよ」  氷動が新たな専用キーをカギヤに手渡す。 「え?このキーは一体……!」 「もう一方の広い物置の専用キーだと思われます。監視カメラの異変に気づいた西沢は、まだ金庫に入れず自分で持っていたんです」  と、簡単にこれまでの経緯を説明した。 「すごい記憶力と読みじゃないか!ありがとう!よし、もう一つの鍵を開けに行こう!」  早速二人は、廊下の一番奥となる広い物置へ向かって移動を始めた。
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