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その途中で黒沼の部屋の前に差し掛かった時、カギヤは氷動の肩を軽く叩き目配せをした。
どうやら「西沢はこの中で倒れているのかい?」と聞いているようだ。
氷動が頷くと、カギヤは閉まっているドアの鍵穴に道具を入れてなにやら細工をした。
そして再び廊下を進みながら、
「僕は鍵を開けるのが好きだから、本当はこういうことあんまりしたくないんだけどね」
と、覆面の下で困り笑顔をした。
「そろそろ黒沼が到着する頃だな」
高級質店ノワールから車を飛ばせば約20分ほどで到着するホテルAにて、アザミは待機していた。
「黒沼がここに来たら思い切り俺に溺れさせて、カギヤと氷動のためにも時間をめいっぱい稼がねぇとなぁ」
うまく行けば足止めだけに留まらず、今回も新しい情報を引き出せるかも知れない。
「今のあのコンビだったら、無事に任務をやり遂げられるだろうさ」
アザミはダブルベッドにドサリと仰向けに倒れこんだ。
氷動か……。
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