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「96」は特定の拠点を作らない。
必要がある時にだけ場を設け、その時の作戦、または作戦に関わる任務に参加しているメンバー同士のみが顔を合わせる。
そして班長のアザミに会いたい場合は、立場的には上官となる片岡であっても場所はアザミが指定するという。
アザミが先に到着し、仕掛けられているものがないか徹底的に調べ尽くしてから相手を部屋に入れる流れらしい。
今回アザミが指定した場所は、都心のビジネスホテルTの一室であった。
階段を三階まで上り、ある客室の前に立った。
すると片岡がノックする前に内側からドアが開いた。
ドアを開けたのは髭を綺麗に整えた壮年の男だった。
身長は氷動と同じくらいで180ほどだが、仕立ての良さそうなスーツの上からでも鍛え上げられた胸筋と背中の膨らみが分かる。
「よぉオヤジ。相変わらず地味だねぇ」
「とんだ挨拶だな」
今日ここで顔を合わせるのはアザミ班長と片岡警視長、そして自分の三人だけだと思っていたが、この男はアザミ班長の側近または班員の一人なのだろうか?
「後で紹介されるだろう」と氷動は思いながら、男に一礼して片岡の後に続こうとした。
しかしその腕を男がつかんで、阻止したのだ。
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