【20】闇の96(前編)

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「どうして机の上のノートパソコン以外にも、あると分かったんですか?」 「あの机の上の物は使用されていないようだったから、ダミーなのかなって思って。黒沼は知能犯タイプだから、かえって僕と相性がいいのかも知れない」  と、黒い手袋の裏に薄っすらと白く付いたほこりを氷動に見せながら、覆面の下で困ったような笑顔をした。 「掃除って大事だよね」  今度こそと「スーパー大食いちゃん」で、データをコピーしようと準備を始めた瞬間、  ドオオォンッ!    すごい音と振動がした。  二人は一瞬で理解した。  西沢だ!  カギヤが黒沼の部屋のドアが開かないように外側から鍵に細工をしなければ、今頃ここに突撃してきていただろう。  黒沼の部屋だけ金庫があるという理由で、他の部屋とは違う強固な材質で作られたドアに取り替えられていたことも氷動たちにとっては運が良かった。  あの音を聞きつけて、他の階からも舎弟が集まってくるかも知れない。 「電源を立ちあげてコピーしている時間がない。ノートパソコンごと持って行こう」
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