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「追えぇっ!絶対逃がすなぁっ!『極秘データ』を取り返せ!」
「うわああっ!……はっ、はいぃ!」
ただならぬ殺気を含んだ西沢の迫力に、三人は車に向かって走り出した、というより逃げ出した。
そして駐車スペースにあった二台の車に、西沢を含めて二名ずつ慌ただしく分乗すると、氷動のバイクを猛スピードで追いかけて行ったのであった。
氷動たちが、高級質店ノワールに潜入する少し前。
警備員姿の瀬田が店の前で停車したアザミの車とやりとりをしている間、氷動とカギヤは道路の街灯の光が届かない闇の中に身を潜めて、潜入するタイミングを待っていた。
実はその時、闇に潜んでいたのは氷動とカギヤだけではなかった。
マリネとモグリ医師も来ていたのである。
マリネの運転する黒いバンは店から少し離れて停車しており、車の灯りを消すと完全に周囲の闇に溶け込んでいた。
モグリが、バンの後ろに積んできた氷動の逃走用オフロードバイクを降ろし、彼も氷動たちと一緒にタイミングを計りながら、店の近くで待機していたのだ。
その後、瀬田がアザミの手紙を持って慌てて駐車スペース出入り口側から黒沼の元へ向かうのと同時に、三人も反対側に位置する駐輪スペースまで駆け寄った。
氷動とカギヤは、そのまま一気にノワール内へ潜入。
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