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モグリは店の外に誰もいなくなった隙に、駐輪スペースに放置されていた銀色の自動車カバーの下に、氷動のフルフェイスのヘルメットとバイクを倒して隠した。
そして再び店から誰かが出てくる前に、急いでマリネの待つ車に戻って音を立てずに助手席のドアを閉めると、二人は一足先にノワールを後にしたのである。
運転席のマリネが言った。
「モグリ先生、お疲れ様ス。やったスね」
「ありがとう。バイクを隠す前と同じように、自動車カバーのシワの状態を再現しておいたから、気付かれることはないと思うが……」
こういうところに、彼の几帳面な性格が表れている。
「実際、目の当たりにして分かったが、敵の建物に入っていくなんてカギヤ君と氷動君は本当にすごいな。今回は大怪我をせずに帰還できるように、彼らの無事と成功を祈ろう」
モグリはそう言うと、ようやく落ち着いたように大きく息を吐いた。
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