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小悪魔的な笑みを浮かべているマリネの横顔を見たモグリが、冗談なのか本気なのか分からずに戦慄して叫ぶ。
「ん~遠慮しなくていいスよ。着いたらボクが起こしてあげるスから、先生は安心して眠ってていいっスよ?」
「どこに到着するのか分からん状況で、安眠などできるか!」
そんな二人を乗せた黒いバンは、賑やかに闇の中へと消えて行った。
そして、再び現在。
完全に無人となって、静まり返った高級質店ノワールの駐輪スペースに放置されていた自動車カバーの下から、もぞもぞと出てきたのはカギヤだった。
「片付けって大事だよね」
氷動が先程バイクを取り出した後、入れ替わりにカギヤが自動車カバーの下に隠れていたのだ。
黒沼派の追手が駐輪スペースに隠れたカギヤに気付かないように、氷動はわざと彼らの前に飛び出して目を眩ませ、反対側にあたる駐車スペース出入り口から出て行ったのである。
今回は氷動が、カギヤを逃がすためのおとり役になったというわけだ。
カギヤの見た目は潜入時の黒尽くめから、鞄を肩から下げているどこにでもいそうな私服姿の通行人に変わっていた。
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