【21】闇の96(後編)

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 そして氷動が逃走したのとは逆方面に路上駐車していたファミリーカーに向かって、街灯があまり役には立っていない暗い道路を足早に歩く。 「アザミ班の皆が、君の帰還を待ってるからね」  氷動の無事を祈りながら愛車のキーを握りしめたカギヤは、闇の中へと消えて行ったのであった。  氷動は暗がりの道路をバイクで逃走していた。 「いたぞ!逃がすな!」  ノワールから脱出する際、氷動に階段で踏みつけられた二人組が乗った車が追いついてくる。  氷動のバイクは「進入禁止、この先行き止まり」との警告が入り口に貼られている、細い路地に入り込んだ。 「やったぜ!あの野郎、袋小路に逃げ込みやがった!きっと暗くて警告を見落としたんだ!」 「いいぞ!あのスピードで直進して、塀に突っ込んでくれればこっちのもんだ!」  この路地は高いフェンスに挟まれ、突き当りには木材工場を囲む低いコンクリートの塀が横切っており、行き止まりになっていた。 「きっと、この辺の土地には詳しくないんだろ!転倒したらすぐ捕まえるぞ!」
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