1489人が本棚に入れています
本棚に追加
そして氷動が逃走したのとは逆方面に路上駐車していたファミリーカーに向かって、街灯があまり役には立っていない暗い道路を足早に歩く。
「アザミ班の皆が、君の帰還を待ってるからね」
氷動の無事を祈りながら愛車のキーを握りしめたカギヤは、闇の中へと消えて行ったのであった。
氷動は暗がりの道路をバイクで逃走していた。
「いたぞ!逃がすな!」
ノワールから脱出する際、氷動に階段で踏みつけられた二人組が乗った車が追いついてくる。
氷動のバイクは「進入禁止、この先行き止まり」との警告が入り口に貼られている、細い路地に入り込んだ。
「やったぜ!あの野郎、袋小路に逃げ込みやがった!きっと暗くて警告を見落としたんだ!」
「いいぞ!あのスピードで直進して、塀に突っ込んでくれればこっちのもんだ!」
この路地は高いフェンスに挟まれ、突き当りには木材工場を囲む低いコンクリートの塀が横切っており、行き止まりになっていた。
「きっと、この辺の土地には詳しくないんだろ!転倒したらすぐ捕まえるぞ!」
最初のコメントを投稿しよう!