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「あのバイク野郎が場所も分からずに猛スピードで逃げているだけなら、階段でバランスを崩すか、速度を落とすはずだ!」
西沢の言葉に続けて、山下が叫んだ。
「気を付けて!すぐ階段になります!え?アイツ、速度落とさない気ですよ!」
「上等じゃねぇかあぁああ!」
すると目の前のバイクは階段から真っすぐではなく闇を斜め前方に舞い、そして当然ながら下に落ちて消えた。
「やった!アイツ、あんな方向にジャンプしたら、地面に着地できないはずですよ!」
この道を何度か通ったことのある山下は、急な階段を降りるとその横には3メートル近くも高さのあるコンクリートの塀に囲まれた大きな資材置き場があるのだと伝えた。
「塀か建物に突っ込むわけか!よし!捕まえてやる!」
そう勢いこんだ西沢であったが、信じられない光景を目の当たりにして思わず急ブレーキを踏んだ。
「うわあぁああ!」
山下が助手席にしがみつく。
急停車した車は、下り階段の途中まで落ちながら止まった。
「な、なななんですか!」
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