【000】エピローグ

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「いい男は大歓迎だ。入りな」  と、アザミがニタリと笑って氷動を招き入れる。 「失礼します」  一礼すると、氷動は一歩足を踏み入れた。  ホテルの部屋の入り口か……。  最悪の初顔合わせは、ビジネスホテルで行われた。  片岡警視長に続いて部屋に入ろうとした途端アザミに腕をつかまれ、急激な体調の変化が起きてしまい、訳も分からずユニットバスに駆け込んだ。  他の班員より酷い反応をしてしまったと後で知り「自分は本当に『96』の班員としてやっていけるのだろうか」と思った。  あんな奴が自分の上官になるのかと、うんざりもした。 「君も容易(たやす)く誘惑されんようにな」と片岡警視長に注意されていたが、 「こんな失礼な野郎が何をしたところで、自分が心を奪われるわけなどない」  そう信じて疑わなかった……。 「どうした、氷動?」 「あ……いえ、すみません」 
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