【000】エピローグ

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「アザミ班長……」  年齢も立場も関係なく、客観的に見ることのできる目。  きっと同じ失敗は二度しないだろう。  その積み重ねが班長とアザミ班の強さを作ってきたのだ、と氷動は思った。  しばらくするとアザミは、懐から手帳とペンを取り出し氷動に手渡した。 「さて、本題だ。今回の自分の働きに見合うと思える報酬を自由に書いてくれ」  さらに冗談めかした口調で続ける。 「書き直しはなし、一度きりの申請だから少なく申請したらもったいねえ。『0』の数を絶対に間違えるんじゃねぇぞ?」  氷動は驚いた。 「96」メンバーたちには作戦完遂ごとに破格の報酬が約束されているとは聞いていたが、まさか班員の言い値とは。  しかし次の作戦で生き残る保障のない「96」らしいとも思えた。 「俺がさすがにこれは多すぎだろうって思った場合、調整は入れさせてもらう。だから安心して欲張って申請しろよ」  そんな上官の忠告をちゃんと聞いていたのかと思うほどに、氷動はサラッとペンを走らせた。
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