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途端に氷動のスーツの下で、体中から汗がじわじわと滲み出てくる。
アザミは氷動のすぐ右隣りで止まった。
横顔にアザミの視線を感じる。
しかし氷動は正面を向いたまま、アザミの方は見なかった。
先程のようにひどくはないが、まただ。
体が熱い。
こんな感覚は初めてだ。
今はアザミ班長に腕をつかまれたり、初めてこの部屋に足を踏み入れた時の状況とは違う。
まさかアザミ班長は超能力者なのか?
だがそうなると、超能力などない自分がアザミ班に入れられた意味が分からない。
突然、気配を感じる間もなく氷動の眼鏡がはずされた。
「……!」
思わず氷動はアザミを見てしまった。
近距離で視線同士がぶつかり合う。
人間の心の奥を数えきれないほど見透かしてきたような目だ。
危険だが魅入られてしまう。
アザミの目を見た氷動は本能的に感じた。
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