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返された眼鏡を再びかけ直す氷動を眺めながら、アザミは真顔で言った。
「勘違いするなよ氷動?俺は任務上、仕方なくエロオヤジを演じているだけだ」
「よくもまぁぬけぬけと……」
片岡が呆れたように小声で吐き捨てると、ケータイに連絡が入った。
「……分かった。戻る」
それだけ言葉を返して片岡は席を立つ。
「今日はここまでだ。どうやら例の作戦だが、事態が好ましくない方へ急変したらしい」
片岡の口調には緊迫した空気が含まれていた。
「氷動行くぞ。班長、すぐ連絡が入ると思う。君も待機していてくれたまえ」
「了解」
部屋の空気が張りつめた状況になっても少しも態度を変えず、余裕たっぷりに返事をするアザミの姿を見て、氷動は彼に対する考えを少し改めた。
あんなふざけた態度をとってはいても、やはり班長。
片岡警視長が言っていた通り、任務時は頼りになる優秀な人物なのかも知れない。
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