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部屋を立ち去ろうとする片岡の後ろに続いた氷動に近づき、アザミは言った。
「話が途中になっちまったな。まぁ、これから長い付き合いになるんだ。焦る必要はない」
長い付き合い。
氷動は「96・アザミ班」の一員として認められたのだと解釈した。
改めて自分の立場を実感し、全身を緊張感が駆け抜ける。
「ありがとうございます。よろしくお願い致します」
そう言うと姿勢を正し頭を下げた。
「じゃあさ、オヤジを先に帰して新人歓迎会ってのはどうだい?」
アザミはニタリと笑うと、部屋の一番奥にあるシングルベッドを親指でさした。
こんな男を一瞬でも尊敬しそうになった氷動は、自分を殴りたくなった。
その帰り道。
再び氷動と片岡はタクシー型の専用車に乗っていた。
あきらかに疲弊した空気を纏っている氷動に対して、すまなそうに片岡が上官の立場らしからぬことを言い始めた。
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