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親切は先輩は「どうやらこの新人は、アザミ班長がどんな人物なのか、まだ知らされていない」と察して、説明を始めてくれた。
「非合法チーム『96』の中でも束ね役というだけあって、アザミ班長はどんな時も臨機応変に行動できる頭の良い人だよ。戦闘にも長けているし度胸もある」
「そうなんですか」
氷動としては面白くなかったが、梶矢がアザミに媚びてお世辞を言っているようには見えなかった。
「そしてあの声。艶っぽくて低い声と巧みな話術は、男女問わずどんな相手でも大抵誘惑されてしまうだろうな。でも班長の一番すごいところは……」
氷動は息を殺して、梶矢の言葉の続きを待った。
「アザミ班長は、媚薬の固まりなんだ」
一瞬、氷動は理解が出来なった。
「一般的な人間が持っていない『特殊なフェロモン』を纏っているらしいんだ。意識すれば多少は増量も出来るとか」
「フェ……生物が体から出して、周囲に影響を与えるというやつですか?」
「うん。あれって、自分以外のすべての生物に影響を及ばすわけじゃないだろ?例えば蜂のフェロモンなら同じ蜂だけにとか」
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