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二人が反射的にパイプ椅子からスッと立ちあがると、ドアが地味に開き片岡が入ってきた。
「遅くなってすまん。どうした氷動、表情が暗いな。梶矢先輩にいじめられたか?」
「いえ、すみません。違います」
「オヤジさん、やめてくださいよ!」
冷静かつ無表情に訂正する氷動に続き、梶矢が慌てながら全力で否定した。
「おまえらは真面目だな。調子を狂わされるアザミ班長と違って安心する。では始めよう」
そう言って片岡がパイプ椅子に座るのを見てから、二人も再び座った。
先程まで雑談していた部屋とは別の場所であるかのように、室内の空気がピンと張りつめた。
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