96・アザミ班【1】呪いの美貌編

【05】極秘データを奪え

　手段を選ばないやり方で密かに警察組織に捜査協力をしている非公式な存在、非合法チーム「96」。

　今回、氷動が初めて参加するのは「新規武器輸入ルートの壊滅作戦」である。

　大陸にある某国において武器を専門に扱う密輸組織「鳳仙花(ほうせんか)」と、彼らの武器を日本で売りさばくための窓口として、中堅暴力団体の一つ「屋多野組(やたのぐみ)」が結託。

　警察は「彼らが日本のアンダーグラウンドにおける武器売買市場に新たに食い込み、暴利を得るための計画を進めている」という情報を基に、半年以上かけて極秘捜査を進めてきたのであった。

「事態が好ましくない方へ急変した」

　片岡警視長の言葉に、氷動はアザミと初顔合わせをした昨日のことを思い出した。

　確かその連絡を片岡が受けたために、顔合わせが中断したのである。

「好ましくない急変」に関して、片岡がこれまでの経緯を地味な声で説明し始めた。