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我々は「鳳仙花」や「屋多野組」と正面から戦争をしようという訳ではない。
狙うのは、屋多野組が所持する、日本における今後の販売計画、取り扱う予定の武器リストなどの情報をまとめた「極秘データ」だ。
それさえ押さえればいい。
警察組織は長い時間をかけて地道な捜査を進め、数億円、いやそれ以上を動かすことになるであろう「極秘データ」の隠し場所を、ようやく突き止めることに成功した。
だがそれは組事務所の金庫の奥深くなどではなく、意外な場所にあった。
彼らが捜査の目をくらますために経営していた店の一つ、ありふれたゲームショップに隠していたらしいのだ。
そしてあの不運な出来事が起きた。
いよいよ捜査陣は、数日以内に店内に踏み込む直前まで迫っていた。
そんな中、一般客を装って何度か店を訪れていた捜査員に声をかけてきた男がいた。
その人物は純粋にゲームが大好きな……警察官だったんだ。
最近この店の存在を知り、非番に早速やってきたというわけだ。
だが彼は、この店にやくざが関わっていることも、警察が「極秘データ」の捜査中であるということも、もちろん知らなかった。
しかし一般客を装っていた捜査員とは、警察学校の同期で顔見知りだったのだ。
「久しぶり!オマエも同じ趣味だったのか!」
仲間を見つけたと大喜びした彼の言葉の数々から、近くにいた店員、つまり屋多野組の関係者に二人が警察官だとバレてしまってな。
その直後、ゲームショップは閉店されてしまった。
「奴らが『極秘データ』を別の場所に移動させてしまい、その行き先を見失っては今までの捜査がゼロに戻ってしまうのだ」
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