【05】極秘データを奪え

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 片岡の説明を聞きながら、氷動は考えていた。  警察の存在に気づいた連中は、今まで以上に警戒するだろう。  屋多野組(やたのぐみ)の息のかかった店は、業種も様々で立地場所も点在していたはずだ。  再び一店舗ずつ片っ端から調べていては、確かに時間がかかりすぎる。  こうしているうちに、警察が把握していない新たな場所に隠される可能性もある。  しかし大勢で一つずつ調べていく人海戦術以外に、何か方法はないのだろうか。  無機質な部屋の重苦しい沈黙を破ったのは、梶矢だった。 「どこから情報が漏れるか分かりませんから『極秘データ』の管理に関わっているのは、組の中でも極めて限られた人間ではないかと思われます」  と、穏やかな声で自分の考えを述べ始めた。 「つまり『極秘データ』の保管場所を変えるからと言って、新たに管理する者まで変えるでしょうか?極秘であるほど関係者は少なくしたいはずです」 「……ふむ、そういう点は『96』と一緒だな」 「ゲームショップは、現在どのような状況でしょうか?」 「シャッターを下ろしたままだ。その後、組関係らしき者の姿は確認されていない」 「その『極秘データ』の管理者として、マークされていたのは?」 「屋多野組(やたのぐみ)の若頭補佐の一人でもある、店長の黒沼だ。今日は港のある街までドライブに行っていると、追跡班から連絡が入っている」 「こんな時にドライブですか……。わざと黒沼は警察の目を引きつけていますね。その後、警察の追跡をまく準備も用意しているのでしょう」
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