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片岡の説明を聞きながら、氷動は考えていた。
警察の存在に気づいた連中は、今まで以上に警戒するだろう。
屋多野組の息のかかった店は、業種も様々で立地場所も点在していたはずだ。
再び一店舗ずつ片っ端から調べていては、確かに時間がかかりすぎる。
こうしているうちに、警察が把握していない新たな場所に隠される可能性もある。
しかし大勢で一つずつ調べていく人海戦術以外に、何か方法はないのだろうか。
無機質な部屋の重苦しい沈黙を破ったのは、梶矢だった。
「どこから情報が漏れるか分かりませんから『極秘データ』の管理に関わっているのは、組の中でも極めて限られた人間ではないかと思われます」
と、穏やかな声で自分の考えを述べ始めた。
「つまり『極秘データ』の保管場所を変えるからと言って、新たに管理する者まで変えるでしょうか?極秘であるほど関係者は少なくしたいはずです」
「……ふむ、そういう点は『96』と一緒だな」
「ゲームショップは、現在どのような状況でしょうか?」
「シャッターを下ろしたままだ。その後、組関係らしき者の姿は確認されていない」
「その『極秘データ』の管理者として、マークされていたのは?」
「屋多野組の若頭補佐の一人でもある、店長の黒沼だ。今日は港のある街までドライブに行っていると、追跡班から連絡が入っている」
「こんな時にドライブですか……。わざと黒沼は警察の目を引きつけていますね。その後、警察の追跡をまく準備も用意しているのでしょう」
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