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「つまり黒沼は一旦ゲームショップを離れる。新たな場所へ潜った後も引き続き奴が『極秘データ』を管理する可能性が高いというわけか」
片岡の言葉にうなずくと、再び梶矢が続ける。
「自らが、おとりになっている以上、黒沼は現在『極秘データ』を所持してはいないと思われます」
片岡の携帯に連絡が入り、会話が中断した。
片岡が席を立ったのを見計らって、氷動が梶矢に話しかけた。
「もしかして、梶矢さんは『96』の頭脳担当なんですか?」
その言葉に照れた梶矢が、慌てて謙遜する。
「そ、それほどでもないよ。僕は元々、警視庁捜査二課で知能犯を担当していてね」
「エリートじゃないですか。そんなに優秀なら、そのまま勤務を続けていたほうが良かったと思うことはないんですか?」
そう氷動に言われた梶矢は、お馴染みになりつつある困ったような笑顔をした。
「いや……それが、僕の場合は、懲戒免職がきっかけでスカウトされたから」
「え?」
今さらっと笑顔で、すごいことを言わなかったか?
氷動は、自分が聞き間違えたのかと思った。
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