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「班の皆からは、僕の名字の梶矢と鍵好きをかけて『カギヤ』って呼ばれているんだ。氷動君もぜひそう呼んで欲しいな」
氷動自身は先輩をあだ名で呼んでいいものか迷ったのだが、ここまで鍵が好きなのなら本人の希望通り呼ばない方が逆に失礼になる気がした。
「了解しました。カギヤさん」
「わあ!嬉しいな!氷動君も希望の呼ばれ方があったら、遠慮なく言ってね」
なんなんだ……この緊張感のないやりとりは。
氷動の無表情に拍車がかかった。
班長のアザミと別の意味で、やはりカギヤも変わり者だったとは。
優秀と言われ「96」の一員となったものの、もしかしたら自分も「変わり者の仲間入り」をさせられただけなのか?
氷動の心は複雑だった。
警察に突き止められたゲームショップから、次はどこに「極秘データ」を隠すつもりなのだろうか。
もしも「極秘データ」の管理人として警察がマークしている黒沼という男を、別件逮捕したところで、そんな男が簡単に口を割るとは思えない。
「すでに、この捜査には長い時間が費やされてきた。奴らが本格的に始動する前に壊滅させるためにも、のんびりはしていられない」と言っていた片岡の言葉は本音だろう。
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