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先程のカギヤの意見をふまえて氷動も自分なりに考えていると、ドアが開閉される音がした。
「今の連絡は、アザミ班長からだった」
席に戻った片岡の言葉に、氷動は内心眉をひそめた。
アザミ班長?まさか、この建物に向かっているなんてことは……。
「アザミ班長は現在、黒沼を追って『港の見える街』にいる」
氷動は安堵しつつ、アザミの行動の早さに驚いた。
そしていよいよ「96」が動き始めたのだという実感にゾクリとした。
「アザミ班長が黒沼をロックオンした。今夜、奴から次の行動を聞き出すと言っている」
氷動はアザミの言葉を信じることが、まったく出来なかった。
今まで以上に警戒しているであろう黒沼から、今夜情報を聞き出す?
アザミ班長が趣味と実益を兼ねているフェロモン・ハニートラップを仕掛けたとしても、さすがにそこまでは無理だろう。
あの男は筋肉もあるように見えたし、戦闘にも長けているとカギヤさんが言っていた。
黒沼をさらって、最後は暴力で白状させるつもりなのだろうか。
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