【00】プロローグ

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 力仕事をしているというアズミの鍛えられた筋肉は、美しくも妖艶さを(まと)っていた。  固く引き締まっているというよりも全体的にボリュームがあり、特に張りのある柔らかそうな胸は、胸板というよりは巨乳という言葉の方が似合いそうだ。  胸元や腕を適度に覆う体毛がさらなる熟した大人の色気を増加させており、紺のボクサーパンツの上部からはみ出している特に濃い繁みはヘソに続いている。  今すぐベッドに押し倒したい衝動と、鍛えられた体を見て「やっぱり警察官なのでは」という疑念が岩原の中で戦っていた。 「念のため、全部脱げ」 「え……そこまでは勘弁してくれよ」 「じゃあ、裏カジノへ連れて行く話は無しだ!」 「そんな!分かったよ!」  さすがにためらっているようではあったが、アズミは根っからのギャンブル好きらしく「どうしても裏カジノへ行きたい」という誘惑に負けたらしい。  岩原に対して体を横に向け前屈みになりながら、最後の一枚を思い切ったように床に脱ぎ落とした。 「……これで信じてくれるのか?」 「俺の方を向け」  全裸になったアズミは、仕方なさそうにゆっくりと岩原の方を向いた。  岩原の視線を強く感じて思わず股間を隠そうとしたアズミの両手を、両脇に下ろすよう命令する。  あからさまな視線に(さら)されながらどうすることも出来ずに、恥ずかしさのあまり肌を赤く染めている年上の男の姿に興奮した岩原は言葉で責め始めた。 「ほぅ……もう()ってきてんのか。随分と遊び慣れてそうだな?」 「違う!ギャンブルで負けが込んで金がなくなったら……仕方なく体を売ることはある。そのために体を鍛えたりしてる……でも好きでやってるわけじゃ……」  なるほど、こいつにも表に出せない部分があるってわけか。  それに体をこれほど鍛えているのは、自分の商品価値を上げるためだったんだな。  ようやくアズミへの「警察官疑惑」が、岩原の頭から完全に消えた。  しかしアズミにそのことは言わず、指示を続ける。 「よし、後ろを向いて壁に手を付け」 「え!もういいだろ?」 「まだ信用できないな」
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