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「おいおい『カタギじゃないだろ、俺のイロと似てる』って、アンタが声をかけてきたんじゃねぇか。だから俺はてっきり、アンタのイロは組関係者かと」
「ああ、俺のイロは警察官だ」
ガタン!
黒沼は酔いが一気に醒めたように立ち上がって怒鳴った。
「……テメェ!テメェも警察か!?」
「いや?俺は違う。言うなれば、ただの囲われモンだ」
まったく悪びれる様子もなく今まで通りゆったりと酒を飲むアザミの姿を見て、冷静さを取り戻した黒沼が再びソファに座る。
「一体、どういうことだ?」
「本当は俺、サツ大嫌いなんだよ。でも弱みを握られちまってさぁ……なんでも言うこと聞かなきゃ刑務所に送られちまう。アイツが俺に飽きて次のオモチャを見つけるまで、ただ我慢するしかねぇんだ」
そう言うと今までとは一転、寂し気な視線をグラスに落とした。
その横顔に黒沼はドキリとした。
ただでさえ警察が嫌いなのに、その立場を利用して悪事を働いている奴がいるとは!
アザミには庇護欲を、その相手には激しい憤りを感じた。
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