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黒沼はアザミの張りのある太ももを優しくさすりながら、小声で言った。
「汚ねぇ野郎だぜ。確かにそいつもカタギじゃねぇが、一緒にするな。俺の方がずっといいだろ?」
「ああ、その通りだった。兄さんの方がずっといいや。俺、久しぶりに楽しい時間を過ごすことができたよ……ありがとな」
そう言って名残り惜しそうに微笑むと、黒沼の頬に軽くキスをした。
そしてソファを立ちあがろうとしたアザミの腕を、今度は黒沼がつかんだのだ。
「そんなに楽しかったんなら、もう少し楽しまねぇか?」
海の近くに建てられた茶色いレンガが特徴的なショッピングモール。
建物内のメイン通路の途中にある吹き抜けから下げられた大時計の針が、午前1時近くをさしていた。
昼間は大勢の人々の楽し気な声があちこちで響いているのだが、この時間になるとさすがに人影もなく静まり返っている。
しかしアザミたちが居た地下のバーを出て階段を上り、一階のメイン通路から外れた小路では、濡れたような音が荒々しい息遣いと混ざり合っていた。
ピチャッ……チュッ……チュプッ……
「ふうっ……んっ……ふ……っ」
アザミはレンガの壁に押し付けられて、何度も角度を変えながら黒沼に激しく口内を貪られていた。
他に音もなく通路には誰もいないため、小さな音も声も大きく響いて聞こえてしまう。
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