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【07】小悪魔マリネ
その時、アザミのケータイが鳴った。
黒沼が「ほっとけよ」といいながら、アザミの首筋に舌をはわせる。
「……んっ……うそだろ?アイツからだ!」
届いたメールの文面を見たアザミの顔がこわばる。
「なんだ?アンタのイロか?」
「ああ……今日は自宅に帰らないって言ってたから、許可をもらって遊びに出たのに……俺が泊まっているホテルに来てるらしい」
アザミから横暴な言葉や命令口調がネチネチと並んだメールを見せてもらい、自分自身が乱暴な言葉を使用する黒沼でさえも気分が悪くなった。
「独占欲が異常に強い奴なんだ。きっと俺がアイツ以外と寝てないか気になって、強引に予定を変更したんだろう」
「たいした変態野郎だな」
「その通り変態野郎なんだ。ホテルに戻ったら、いつもみたいに体中を隅々までしつこく調べられるんだろうな……もう少しメールがくるのが遅かったら、危なかったよ」
体中を隅々まで調べられているアザミを想像した黒沼の喉が、ゴクリと鳴った。
「俺が話つけてやろうか?」
「兄さん、やくざなんだろ?警察とは関わらない方がいいんじゃねぇか?俺、兄さんを巻き込みたくはねぇんだ」
黒沼は、ハッとした。
そうだ、特に今、俺はサツと関わるわけにはいかねぇんだ!
そのクソ野郎が現在「極秘データ」の件と直接関わっていなくても、警察官である以上は今後関わる可能性だって考えられる。
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