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カギヤが予想した通り、黒沼は港の見える街から縄張に戻る途中で立ち寄ったパーキングエリアに協力者を準備しておき、追跡班の目を欺き姿を消してしまった。
一時的なものであるとしても、捜査陣にとっては危うく大きなタイムロスになってしまうところであった。
氷動の隣りでカギヤが困ったような笑顔をしながら呟いた。
「残念だけど、法にのっとった捜査をしていたら完全に黒沼に逃げられていたかもね」
「残念だけど」という部分に、カギヤも元警察官であったのだと氷動は感じた。
「今日、二人に来てもらったのは他でもない。任務を頼みたいんだ」
表情を変えることなく、氷動は声の主である片岡を見た。
「氷動。君の退職願は受理された。もう完全に警察の人間ではない。よって今後は『96』のメンバーとしての任務を君にも与える。いいな?」
「了解」
これで正式に「『鳳仙花』と『屋多野組』による新規武器輸入ルートの壊滅作戦」に関わっている「96」メンバーは、班長のアザミ、氷動、カギヤ、マリネの四名となった。
氷動にとっては初めての任務になる。
いきなり命を落とす可能性もあるだろう。
氷動が横目でカギヤを見た。
彼も緊張しては見えたが、先輩らしく落ち着いても見える。
氷動の視線に気付いたカギヤは「一緒にがんばろう」というように頷いた。
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