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「まるごと入手すれば、後でゆっくり分析できるからね」
嬉しそうに説明し終わったカギヤの言葉に、
「ちなみに今渡したそれは、さらに改良した『スーパー大食いちゃん』という名称らしいぞ」
と、片岡が付け加えて、照れ隠しでもするかのように地味な咳払いをした。
午後11時。
ゲームショップの正面の前を走る道路は、車両が相互通行できる程度の幅員はあるものの、この時間になるとほとんどの人や自動車は平行して延びている大通りの方を利用するらしい。
目的の店が見える近くの細い路地裏に、氷動とカギヤは潜んでいた。
氷動は黒いウインドブレーカーと黒のジーンズ、カギヤはネクタイをしたスーツ姿で、左手の薬指にあの指輪をしている。
店舗正面にある客用出入り口は、店員たちが逃げ出した時からずっとシャッターが下ろされたままで、周囲に人の気配はないようだ。
ゲームショップの右側は、隣の建物を囲うフェンスとの隙間がとても狭く、成人男性の通り抜けは難しそうである。
しかし左側は、自動車の走行が禁止されている細い道路であった。
その細い道路は、ゲームショップの裏手にある通路を挟んで背中合わせに建つビルの横にまで延びており、交通量の多い大通りへ歩いて抜けられるようになっている。
この店の出入り口は二つ。
シャッターが下ろされたままの正面にある客用出入り口と、店の裏手にある店員専用出入り口だ。
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