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二人は見回りの捜査員が近くにいないことを確認すると、注意しながら店の裏手へと移動した。
店員専用出入り口の横には、見るからに厳重そうな鍵が取り付けられている。
鍵の上部にある黒い画面の下の蓋をカギヤが静かに開けると、カードの差し込み口と電卓のような数字のキーが並んでいた。
こんな鍵、果たして開けられるのだろうかと氷動は思いつつ隣のカギヤを見ると、大好物のお菓子を目の前に置かれた子供のようにキラキラした表情をしている。
「このタイプは暗唱番号と関係者に渡されるカードが必要なんだ。でもね、それ以外のものを使って開ける裏技が……」
カギヤの講釈を氷動が遮った。
「話の途中ですみません。緑のランプが点灯しているのは、施錠されているという意味でしょうか?」
「いや、緑のランプは鍵が開いているって意味……え?」
カギヤは氷動が指さした緑色に輝くランプを見て目を丸くし、
「あれ?嘘だろ?なんで?」
と、ポカンとしたような声を出した。
「鍵が……すでに開いている」
閉まっていたドアの縦長のノブを握って、右に傾けるとガチャリと音がして開いた。
「せっかく僕が開けられると思ったのに……店員たちは慌てて逃げたって言ってたけど……まさか鍵をかけ忘れるなんて、信じられない……ひどいよ」
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