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「これは護身用じゃないですか!持っていた方が……」
「今の状況じゃ持たない方がいいと思う。荷物が増えて悪いけど、持っていってくれるかな?」
そういうとカギヤは困ったような笑顔をみせた。
シャッター前で会話をしている男たちの声が小さくなった。
今度は店の裏手に向かって来ているようだ。
「時間がない!早く!」
「……了解」
カギヤは氷動を先に外に出すと、自分は店内に引っ込みドアを閉めかけた。
その行動に驚く暇もなく氷動は右方向へ走り、フェンスを素早くよじ登って飛び降りた。
男たちが店員専用出入り口からドアを開けて出て来たカギヤを見つけたのと、ほぼ同時だった。
「テメェ!なにやってんだ!」
「出てこいコラァ!」
突然店内から現れた侵入者に驚き、大きな声を出す男たち。
カギヤが大きく開けたドアが、フェンスから飛び降りた氷動を隠したため、男たちにまったく気付かれずに済んだ。
カギヤは自分を逃がすために、ドアを開けるタイミングも考えてくれていたに違いない。
そう思いながら細心の注意を払いつつ、氷動は隣の敷地からゲームショップの正面の道に出た。
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