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【09】暴力の嵐
ゲームショップの裏手で倒れ込んだのは、カギヤだった。
言葉をはっする前に、若い男に腹と顔面を突然殴られたのだ。
倒れているカギヤに容赦なく蹴りが何発も入れられ、さらに踏みつけられる。
カギヤの目元と口内が切れて流れ出た鼻血が、スーツやワイシャツを汚した。
後から店に現れたのは、二人組の男たちであった。
迷彩ズボンに軍用ブーツを履いた若い不良風の男と、赤いワイシャツを着てサングラスをかけたチンピラ風の男だ。
カギヤを攻撃したのは若いブーツの男で、それをやや後方で眺めていた赤シャツの男が兄貴分らしい。
見た目は個人の自由だとしても、いきなり他人に暴力を振るうことが出来るという時点で常識のある一般人でないことは明白だった。
屋多野組の連中か。
むせながら、カギヤは思った。
もしかしたら、店内にあったパソコンの中の「極秘データ」を持ち出しに来たのか?
そうだとしても、もう問題ない。
今頃、氷動君がオヤジさんの所へ届けるために「96」へ向かっているはずだ!
赤シャツの男がカギヤを見ながら、小馬鹿にするように言った。
「なんだぁこいつ、指輪してやがるじゃねぇか。家庭持ちのリーマンに化けた泥棒かよ?」
「ご……誤解です……」
よろけながら立ち上がったカギヤが、必死に言葉を続ける。
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