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「じ……実はどうしても欲しい商品があって」
それを聞いたブーツの男が、威嚇するようにカギヤの顔に自分の顔を近づけて怒鳴りつける。
「はぁ?それでウチに盗みに入ったってのか?ふてぇ野郎だ!」
赤シャツの男がブーツの男に指示を出す。
「おい、ケンジ。武器を持ってねぇか調べろ。もしかしたらサツかも知れねぇ。警察手帳も調べろ」
ケンジと呼ばれたブーツの男が、カギヤを服の上からバタバタと雑に叩いて調べる。
「……武器も手帳もないス!警察じゃなきゃ、やっぱ泥棒じゃねぇっスか?」
「だから違いますよぉ!突然ここが閉店になったから……もし店内に誰かいたら、金額を上乗せするから売って欲しいって交渉しようと思って……仕事帰りに立ち寄ったんです」
カギヤは震える指でドアを指さした。
「呼び鈴はないかなと思って、裏口にまわったら……ドアの鍵が開いていたから……」
「嘘つくんじゃねぇ!」
バシッ!
ケンジがカギヤの足を蹴って転ばせる。
「痛っ……暴力はやめてください!本当ですよ!店員じゃない僕に、お店の鍵が開けられるわけないじゃないですか!」
我ながらよく言うよ、と内心でカギヤは思った。
「言われてみりゃ、確かにそうだな」
赤シャツの男はどうやら納得したようだ。
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