1484人が本棚に入れています
本棚に追加
そう言ってドアに近づき鍵を操作するとガチャリと施錠された音がして、赤いランプが点灯した。
「声をかけて店内を覗いたんですけど、真っ暗で……それであきらめて引き返そうと思ったら、貴方たちと鉢合わせたんです……それだけなんです……ホント勘弁してください」
最後の方は消え入るような涙声になっている。
「ははは!なに?泣いてんの?情けねぇおっさんだぜ!」
弱々しく地面に正座しているカギヤの姿を見て、ケンジが愉快そうに笑いながら唾を吐きかけた。
「おい」
赤シャツの男がカギヤに近づいてきた。
ビクッと怯えたように体をすくませたカギヤは、震えながら赤シャツを見上げる。
「な…なんでしょうか?」
「オメェさっき商品を買う気で、この店に来たって言ってたよな?」
「は……はいっ」
「財布だせよ」
「でもあの……カードは嫌いで現金しか入って……」
「なんでもいいから出せって言ってんだよ!」
赤シャツの男の横から痺れを切らしたケンジが出てきて、正座をしているカギヤの横顔を蹴り倒した。
「……っ!」
口内が酷く切れてしまったらしく、血の味が一気に広がる。
最初のコメントを投稿しよう!