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カギヤが身を挺してゲームショップから自分を逃がしてくれた後、氷動は少し離れた場所にあるコインパーキングに向かった。
そこにカギヤが普段使っている、平凡な白いファミリーカーを駐車していたのだ。
もちろんその見た目はカモフラージュであり、窓は防弾、厳重な防犯装備などが付いている「96」仕様である。
駐車場に着いた氷動は、別れ際にカギヤから預かった車のキーを取り出した。
カギヤさんにも言われたじゃないか。
今の自分の役目は、これを「96」へ届けることだ。
そう思いつつ、ウエストポーチに入れた重要アイテムたちを、ポーチの上から押し付けるように触って存在を確認する。
カギヤの機転のおかげで、後からゲームショップに現れた二人組は氷動の存在を知らない。
妨害されることなく車を走らせて、帰還することが出来るだろう。
氷動は運転席に座った。
そして深呼吸をした。
自分には……無理だ。
助手席の前方にあるグローブボックスの中に作られた隠しスペースにウエストポーチを潰して突っ込むと、氷動は車を降りて駆け出した。
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