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細い道路側から流れ込む街の光が氷動の背後からあたっているため、ケンジから見ると逆光になっていて、どんな相手なのかよく見えない。
しかし身長180センチを超える引き締まったシルエットが、三段ロッドを持って立っているのを見れば、どんなに鈍感な者であっても自分の身の危険には気付くだろう。
「ううっ……」
先ほど氷動に奇襲され、うつ伏せに倒れていた赤シャツの男がうめいた。
肘を使って起き上がろうとする上半身を、氷動の硬質な黒いショートブーツが容赦なく蹴り上げる。
ドガッ!
「ごはっ!」
と叫び、上半身が宙に浮いた赤シャツの男の頭部を、今度はサッカーボールをシュートするかのように、まったく躊躇することなく全力で蹴り飛ばした。
ガツンッ!
「ぐわっ!」
赤シャツの男は吹っ飛び、頭部はゲームショップの裏口と背中合わせに建っているビルの壁に叩きつけられた。
そしてそのままスローモーションのように、ゴロリとうつ伏せになると動かなくなった。
壁にぶつかった場所に付いた血から、氷動の殺意が伝わってくる。
「テメェ……よくも兄貴を!警察じゃねぇな?どこの組だ!こいつの仲間か?誰なんだよ!くそっ!」
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