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ケンジが思いつく限りの言葉を並べ立ててわめいた。
やがて氷動が徐々に近づいてくると、ケンジにもようやく顏が見えてくる。
それは想像していた凶悪な外見とは正反対で、眼鏡をかけてはいたが驚くほど美しい顔立ちだった。
「来るな!」
ケンジは思わず叫んだ。
あれだけの暴力行為を行ったにも関わらず、彼の顔から一切の感情が感じられないことがケンジを恐怖に飲み込んだのだ。
いつも俺と一緒に周囲を怯えさせていた兄貴は、倒れ込んだまま動かねぇ!
早くどうにかしねぇと、コイツは俺を殺す気だ!
……そうだ!
兄貴からもらったアレがあったのを忘れてたぜ!
氷動とケンジのやりとりを見ていたカギヤは、彼を手助け出来ない自分の現状が歯がゆかった。
先ほどカギヤは「騒ぎを大きくしないこと」を最優先に考え、二人組をやり過ごしてから自分も逃げようと一方的に暴行を受け続けた。
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