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その際、攻撃の当たり所が悪かったのか足がふらついてしまい、思うように体を動かせられないのだ。
しかしそれが氷動を救うことになる。
立ち上がれずに別の角度から二人を見ていたカギヤだったからこそ、ケンジが取り出した拳銃に、いち早く気付くことが出来たのだ。
「あぶない!」
そう叫んだカギヤは氷動を助けたい一心から気力だけで体を動かし、下方からケンジに体当たりした。
乾いた銃声が立て続けに狭い通路に響き渡る。
バランスを崩したケンジの撃った弾のうち一発が、氷動の右の脇腹に当たった。
「ぐっ……!」
強烈な力に焼かれたような激痛に、思わず地面に膝を着きそうになりながらも歯を食いしばって耐える。
カギヤが妨害しなければ、さらに数発は喰らっていたかも知れない。
氷動は己の判断が遅れたことを悔やんだ。
警官時代、射撃訓練はしていたが、実際に発砲事件に遭遇したことはなかった。
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