【09】暴力の嵐

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 ケンジが拳銃を持っているとしても銃口を向けて脅す程度であり、まさか市街地で、こんなに安易に引き金を引くとは思わなかったのだ。  そんな常識的な考えが、この事態を招いてしまった。 「テメェ!邪魔すんな!」  ケンジはカギヤを銃把(じゅうは)で思い切り殴りつけ、地面に崩れ落ちた彼に銃口を向けた。  その時、氷動がケンジ目がけて駆け出した。 「なに!」  一瞬、ケンジは二つの標的に振り回された形になった。  氷動は鉄を仕込んだ三段ロッドの柄の方をケンジに向けて、その顔面を狙って槍のように投げつけた。  ゴッ! 「ぎゃあっ!」  上手い具合にヒットし、硬質な音が響いた。  ケンジの足はふらつき、両手で顔面をおさえて苦しみ始めた。 「……ううっ!」    眉間を血が流れている。  さらに続けて攻撃をしたいところであったが氷動自身のダメージも大きく、ついに地面に膝を着いてしまった。
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