【10】ラブホテル組

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【10】ラブホテル組

 2時間ほど前、アザミはゲームショップとは別の場所にいた。  壁に埋め込まれた大きな水槽の中で、美しい魚たちが泳いでいる。  そこは水族館……ではなく、部屋ごとに凝った演出がなされていると評判のラブホテルの一室であった。  ライトの種類の中から「波」を選ぶと室内が優しい青色に包まれ、水面のように揺れる光が大きなベッドのシーツに映し出される。 「あ~落ち着くぜ。ほらマリネも休憩しろよ」 「ん~班長ぉ。まだまだ終わりじゃないっスからね?」 「オメェには、倍の年齢の相手をいたわろうって気はねぇのかよ。ったく、最近の若ぇもんってのは……」 「そぉいう時ばっかり、年寄りなのってズルいッス~!」  マリネは、ショートヘアの丸く可愛らしい顏をぷうっと膨らませ、さらに丸くした。  一糸まとわぬマリネのしなやかな肢体が、同じくベッドに寝転んでいる鍛えられたアザミの体躯に重なり、巨乳を薄く覆う胸毛に頬ずりをしながら甘え始めた。 「ん~。この熊さんみたいなボリューム最高ス~。あれ?大きなモグラさん、こんにちは」 「んっ!ヒトのブツで遊ぶんじゃねぇよ」  と、アザミに頭を軽くグーで小突かれると、コロンと隣に転がり落ちてベッドの上にうつ伏せになって並んだ。  ちなみに身長が180近いアザミと160のマリネだが、先程まで艶っぽい(あえ)ぎ声を室内に響かせていたのはアザミの方である。
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